では、「計測の目的」って何でしょうか?
例えば「自動車を運転」するとき、「前方や周囲を確認して速度を維持し、他者とぶつかりそうになったらブレーキを踏む」といった行動します。
これは
ということです。
(これはまさにPDCAサイクルと基本的に同じですね。)
この例の1)が計測に相当します。
要するに、「計測」というのは「状況を制御するために把握すること」だと考えることができます。
(「測っただけ」では「意味が無い」のです。)
これをまとめると次のような図になります。
「計測結果」に基づいて「現在の状況が目的に合致しているか」を「判断」し、「制御量(どれだけ変化させるか)」を「決定」し、「制御を行う」ということです。
「制御」も「実行して終り」ではなく、制御は現状に対する干渉ですから、「制御したことによる影響」を再検出して演算し「延々と修正を繰り返していく」必要があります。
現場計測では、「安全に効率的に施工が行えているか」を把握することが目的となる場合が多いです。
そして、「計測技術者」とは、言わば「パイロット(水先案内人)」であり、「目的に対して有用な情報をユーザにサービスする技術者」ということができます。
さらに、計測技術者は「特殊な通訳」でもあります。
つまり、「計測対象が計器を通じて訴えていること」は人間の言語ではありませんから、それを「ユーザ」に理解できる形で伝える仕事だからです。
(ユーザが技術の専門家から遠いほどそれを実感するでしょう)
ただし、「どう制御したいかを決定する」のは あくまで計測結果を利用する「ユーザ」の仕事です。
でも例えば「自動制御のマシーンならユーザがいらないんじゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、「どのような状態」をもって「正しく制御できた」とみなすかは結局「ユーザーの判断」であり、自動制御のマシーンとは「ユーザーの要求に合わせてあらかじめシステム化したもの」に過ぎないのです。
計測においても現在では大抵の場合、自動計測、自動出力、自動警報、自動制御といった処理がなされますが、その場合でも「有効な計測が実施できているか」を決めるのはユーザということです。
「有用な計測結果をユーザに提供する」ためには、「ユーザが何をしたいのか」が明確でなければならず、またそれを「計測技術者が理解」していなければならないということです。
(「全ておまかせコース」でさえ、結局は「ユーザの要求」が基準で、これがあやふやだとなかなか満足の行く結果にはなりません)