「計測業の仕事は何か」といえば、「お客様に計測情報を提供すること」ですが、それはあたかも「レストランで行われている仕事」によく似ています。

レストランで行われている仕事は基本的に、

  1. 「どのような料理」を提供するかを定め、「必要な素材」を決める
  2. 「素材」を吟味して選び、集める
  3. 素材の泥を洗い落としたり皮を剥いたり「使えない部分を取り除く」
  4. 料理したり食べやすいように「大きさを切り揃え」、軽く茹でたり「下ごしらえ」をする
  5. 炒めたり揚げたりして「調理」し「必要な調味料を添加」して味を調える
  6. そのようにして調理された様々な素材を「盛り合わせ」る
  7. また、それらを「コース」や「膳」にしつらえる
  8. さらに「料理だけ」あってもレストランとは言えず、清潔で雰囲気の良い店作りをし「お客様に席に座って」いただき、「良いタイミングで提供」する

といったものになるはずです。

これを計測業にあてはめてみると、

1) 「計測目的」やそのための「計測項目」「必要な計器・機材」を「定めて選定」する

2) 計器を設置し計測システムを構築して測定し、生データを得る
「素材としての生データ」には場内の停電や不用意な接触など「計測目的に照らして明らかに無意味なノイズ」が混入しているため「データクリーニング」する。

3) 生データを物理量に換算し単位や有効桁数を揃える。(測量結果などの実測結果がある場合キャリブレーション(補正)を行うこともある)

4) 測定データからさらに判断しやすい形に演算し、図表化したり三次元か時系列で重ね合わせるなど、「情報が分りやすく、目的の達成度を判断しやすい形式」に加工する

5) 「計測データ」にさらに「管理値データ」や「施工状況データ」、「気象データ」など「状況判断に必要な要素」を全て盛り込むことではじめて「計測情報」となる

6) それらを「総合的な情報管理システム」や「必要情報を全て盛り込んだ報告書」などの形式で提供する。さらに計測結果に基づいた「変形解析」などを行うことで「現状把握」と「将来予測」が可能になる

7) 現場は刻々変化しており「必要な(許容可能な)タイミング」で計測情報が提供されなければ無意味で、密接に「お客様との信頼ある人間関係」を築き、クレーム処理や改善案の提示なども随時行っていく

といったものになります。

(ノイズ要因を取り除きながら、「いまデータの泥を落としている」と思い浮かべると少し楽しい気がします。)